【コラム】コロナ禍のリモート観光とYouTuber

2020年3月頃よりいわゆるコロナ禍に突入して久しい。今日ではもうコロナ禍であることが当たり前になりつつあるが、観光業はすでに火の車であり危機真っ最中である。

新たな旅行スタイル

各社が工夫を凝らす中で、新たに「リモート観光」という概念が現れ始めた。ZOOMやSkypeなどのリモート会議ツールを使用して、旅行会社が現地の様子をリポートしながら「あたかも観光しているかのような気分になれる」というものである。

会社員という制約のある中で生み出したプランとしては非常に素晴らしいアイデアだと感じるが、旅行系YouTuberといわれるジャンルがニッチではあるが確立しつつある今日、旅行会社は太刀打ちができるのだろうか?

旅行系YouTuberとは?

旅行系YouTuberは自らが旅行へ行った様子を動画として投稿し、視聴者へ追体験をさせたり新たな観光地の情報を提供することが主なサービスとなっている。
代表格としては「スーツ 旅行」チャンネルや「おのだ」チャンネルが挙げられるであろう。日本や世界各地を旅し、その様子を動画として投稿するコンテンツが一般化し、スーツ氏は今日マスメディアへの露出も増えている。この様子ではますます旅行会社の「リモート旅行」は先行きが不安なものとなってしまう。

現状のリモート旅行がYouTuberに太刀打ちできない理由

リモート旅行の最大の弱点は「料金がかかる」という点である。YouTubeは基本的に無料で見ることができる。反対に旅行会社が商品としてリモート旅行を販売するには料金を取る必要があるし、場合によっては旅行業法の制約を受けたり旅行業務取扱管理者への人件費を払ったりと縛りが強すぎるように感じる。少人数の旅行会社であれば問題ない制約かもしれないが、大会社は厳しいかもしれない。

会社だからできることをしよう

料金というのはデフレかつコロナ禍で経済的に打撃を受けている消費者には非常にナーバスな問題になりかねない。かといって全てがダメかというとそういうわけではない。

私は「会社だからこそできること」を積極的にするべきだと考える。VR(仮想現実)を用いたリモート旅行や音声に特化した旅行サービス(鹿威しの綺麗な音・釧路湿原の自然の音)など、個人事業主には難しい、会社だからこそできるサービスを工夫して提供していく必要があるのではないか。

また、会社であるということは非常に強力である。近年ではYouTuberへの理解も強まっては来ているが、未だに地方の老舗ではテレビや雑誌などマスメディアのみの取材を受ける飲食店や観光地も少なくはない。

そこで、会社であることの強みを生かしてYouTuberの踏み込めない領域へ踏み込み、独自のコンテンツを生み出していくことが現状を打開する得策になるのではないだろうか。

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