常磐線全線復旧乗車記・浪江駅は今・双葉駅は今②
前編はこちらからご覧ください
双葉駅の今
双葉駅も浪江駅同様に2020年3月13日まで福島第一原発事故の影響を受けて普通となっていたが、2020年3月14日に復旧を果たした。
しかしながら、復興は道半ばである。駅舎と周辺の雰囲気の乖離を私たちは目に留めて、今後の福島を考えてみる必要がある。
駅舎の様子
駅舎の外観は建て替えられ現代的な雰囲気となった。橋上駅舎となり津波への対策もなされている。
なお、隣の建物は解体されておらず、また利用もされていなかった。現在どうなっているのか気になるところである。
また、駅前ロータリーも非常に整備をされている。新型コロナウイルスの影響で大きく混乱をしてしまったが、聖火リレーでここを通ることが予想をされており、そのためにこれほど綺麗な整備がなされたものと思われる。
またそれに伴ってか、駅前にはホンダのカーシェアEveryGoのステーションが設置をされています。
駅前の道は
ただ、その静かで華やかな景色も駅前のみとなっています。なぜならここは昨日まで帰還困難区域だったからです。住居に住む人も歩道を歩く人もごく僅か。そしてその10人も帰ってくる保証は一切ありません。
道端は寂しげな暗い10年間を映しています。
住宅にも影が
それにより住居や店舗、消防団の詰所にも大きな災禍の爪痕が残されています。
中は3.11のあの日のままとなっており、とても賑わっていた過去を思い出すことのできないような惨状となっています。
土砂が流れ込み、また瓦礫の山となり、どんな景色も私たちの見たことのないものとなっています。
ただ、それを惨状とただ揶揄するだけでは何も生まれません。そこで育ち、浪江と人生を共にしてきた人たちのために、この景色を見た私たちは何ができるのでしょうか?
また、この災害大国では同じことが我が家でも起こりうるのです。一つ一つを自分ごととして捉えながら景色を見て感じなければなりません。
それでも春は来る
厳しい10年間の冬を乗り越え、2020年3月11日についに春がやってきました。除染作業が終わり、浪江駅周辺には上記のように立ち入ることができるようになったわけです。
少ない歩数で小さな歩幅かもしれないこの事実を、我々はきっちりと見ておかなければなりません。ただ努力の末だと美談にするだけでなく、そこに住んでいた方々がまた愛する地で生活をできるように支援し、今愛する人や街を守る主体として自分自身が立ち上がらなければなりません。
春はいずれやってきます。逃さぬように、強く握りしめて、一夫に治病目の前を大切にしましょう。そう浪江の街並みと一本のロープが教えてくれているように感じます。