防災は自分たちで考える!「みずから守るプログラム」とは?
2022年9月23日から24日にかけて静岡県の一部では、台風15号の影響から水害が起き、9月27日現在でも断水などで困っている方が多く見える現状があります。昨今では気候変動の影響から水害が多く発生することがあり、それに伴い水害への注目度が高まっています。
そこで、今回は愛知県で行われている「みずから守るプログラム」といった取り組みをご紹介します。地方自治・住民自治の考えに始まり、自分たちで主体的に水害の危険から逃れることのできるようにどのような施作が執り行われているのでしょうか。
みずから守るプログラムとは?
愛知県は平成23年から「みずから守るプログラム〜大雨が降ったら〜」を展開しています。愛知県のHPではこのように紹介されています。
みずから守るプログラムには水害に備えるために、手づくりハザードマップの作成や大雨(避難)行動訓練の支援を行っています。
平成27年8月現在までに、海部管内では32地区44事業を実施しています。
※引用:愛知県HP
手作りハザードマップの作成
普段市町村から配られるハザードマップには水害の際の最大浸水深が示されています。
しかしながら、そのようなハザードマップは広域地図で書かれているため、自分の住んでいる場所が分かりづらかったり、そもそも配られるだけではなかなか忙しく見方もわからないため見る機会もないかもしれません。そこで、手作りハザードマップの出番だそうです。
白地図を持って自分たちで街を回りながら危険な場所を認識、地図に危険な場所を書き込んでいき、自分たちのハザードマップを作っていくのだそうです。
自分たちの手で、実際に作ることで、実感が湧き実際に水害に遭った際に自分の身を守ることができるように動けると言われています。
大雨(避難)行動訓練の支援
大雨(避難)行動訓練の支援では、前の章で紹介したハザードマップをもとに行われることとなっています。
その地図をもとに避難行動を訓練するわけですが、よくある地域の防災訓練と違う点がいくつかあります。
- 自宅からスタート
- 経路を自分の目で確かめる
- 意見交換の場がある
などが挙げられます。よくある防災訓練では、公民館などに集まり避難場所や避難経路、注意点などを確認して終わりといったものが多いですが、ここではそれらがありません。
自分で体験して覚えることで、実際に動けるようにすることは重要な視点かもしれません。
大人も子供も活用できる。生涯学習のツールでもある。
これは何も大人だけが知れば良いものでもなく、反対に子供だけが知れば良いものでもない。老若男女全ての人が知ることが大事である。
その観点から子供は自由研究の題材と指定活用することもできる。地域の水害に遭いやすいポイントを知ることは、普遍的に水害に遭いやすいポイントの特徴を知ることができ、深い学びにつなげることができる。
大人も現在よく提唱されている生涯学習のツールとして非常に有用なものである。生涯を通して学び続けることで、社会とのつながりを持つことにもつながる生涯学習だが、これはまさにそのコンセプト通りである。
筆者の考える疑問点や改善点
このように自ら災害の危険性を認識し、命を守る行動をスムーズに取ることのできるようにすることはメリットしかない良い施策かもしれないが、あえて疑問点や改善点を紹介して今後同様の施策を取り入れようと検討している自治体へブラッシュアップのきっかけとなればと考える。
参加できる人とできない人の不平等性
参加できない人は参加者のように深い学びを得る機会がなくなってしまう。また、防災という自らの命に関わる知識を享受できない不平等性が生じる可能性がある。自ら参加しないことを選ぶ場合は関係がないが、参加したいができない人へのフォローはどうしているのだろうか。
現状では、完成したハザードマップを配ることが行われているが、もう一つ工夫があると良いのではないだろうか。私もその工夫について考えていきたい。
思い込みで思わぬことに
災害とは不確実なものである。ある日ある時、思いもしないことが起こってしまうものである。
であるからこそ、ハザードマップで危険な場所を確認することが返って不都合な結果を招いてしまうのではないだろうか。「ここは危険と言われてなかったからここを通れば安全」と思って盲目的に通行をしたら実は足元が悪く命を落としてしまった、なんてことが場合によっては起きなくもない。
「災害は不確実」「思い込みで動かない」ために伝え方の工夫は必要であると感じる。
自分の身は自分で守る。そのための最高のツール
この「みずから守るプログラム」は自分の身を自分で守る、いわば「自己防衛」のための最高のツールであると言える。
また、住民同士が必ず交流しなければ完成しないプログラムであるため、住民自治にもつながる部分である。意見を出し合って自分たちの街、自分、大切な人を守るためにこのプログラムが広まると良いのではないだろうか。